2022年6月に初めてPCで4Kモニターデビューしたが、その時に購入したDELLの27インチモニターU2723QEがえらく気に入ってしまい追加で自宅用での作業用に31.5インチモニターU3223QEを購入した。
そんなわけでU3223QEについてレビューをしてみたいと思う。
関連 Dell U2723QEのレビュー。U2723QXとの違いは?IPS Blackの4K27インチモニター
目次
DELL U3223QEレビュー
筆者は、趣味としてミラーレスカメラで写真を撮ってレタッチをしているが、書き出しした自分の写真をこの31.5インチのモニターに設定するとなんとも言えない感動を覚えるし、机の上がこれぐらいスッキリする。
31.5インチモニターを選んだ理由
なぜ27インチではなく31.5インチモニターを選んだのか?
4Kは横3840px、縦2160pxの解像度となっているが、27インチモニターでこのサイズに設定するとブラウザなどのアプリ画面で表示される文字が小さく表示されてしまい、非常に見づらくなる。
なので、27インチのモニターは3008 x 1692の解像度に下げて利用していたが、これは下記のようにトレードオフとなる。
解像度とモニターサイズの関係 | |
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解像度を下げる 例:3008 x 1692 | 解像度を上げる 例:3840 × 2160 |
文字の大きさがある程度見やすいが、表示できる領域が狭まる | 文字が小さく見づらいが、表示できる領域が広くなる |
31.5インチは、モニターそのもののサイズが大きくなり、同じ解像度3840×2160なら、27インチモニターよりも表示できる領域が広いまま表示する文字は大きくなる。
仕事柄、HTMLをコーディングしたり、プログラムを書くこともあるので、複数のファイルを開いて確認しながら作業する時は31.5インチのモニターの方が圧倒的に生産性の効率が上がる。
また、自分はブログなどのライティングもするため、調べ物をしながら複数のウィンドウを開きながらライティングするため、やはり切り替えながら作業するよりも並べて作業した方が圧倒的に楽になった。横だけではなく、縦も高さがあるため、サイズを調整で切り替え作業が格段に下がる。
ただし、人間の視野領域は限られるので、画面両端を見る場合にはそれなりに顔を動かしたり、ノートPCのタッチパッドでカーソルを動かすのは指に少し負担がかかる場合には、8,000DPIオプティカルセンサーを持ったMX MASTER 3sのようなマウスを使った方がいいかもしれない。
念のためにだが、自宅の横幅120cmのテーブルがそれなりに占拠されているのも注意点として促したい。
また、3840 × 2160の解像度というのもあり、動きの滑らかさを実現するリフレッシュレートを60Hzで利用するには、古いPCだとGPUのパワー不足で適用されない場合もあるので、注意が必要だ。
31.5インチを選択したもう一つの理由として、Dell U2723QEのレビューでも触れたが、PCの27インチモニターはそれなりの大きさがあるものの、映画鑑賞が好きでAmazonプライムでしばしば映画を観る自分には迫力が少し物足りないと感じていた。
なので、もう少し大きいモニターとしてこのサイズを選んだ結果、さすがに27インチと比べて映画の迫力が違って非常に満足した。
IPS Blackによる引き締まった黒
追加で買い増しする「追い買い」をするほど、自分は27インチのU2723QEに惚れ込んだのだが、その最大の理由としてIPS Blackの美麗さにあると言っても過言ではない。
これまでにも美麗だと思われるモニターは使ってきたことがあるが、このDELLのコントラスト比2000:1とIPS Blackによる引き締まった黒による「画」は、それまでのものとは比べもにならないぐらいに安定感のある締りがある。
長年EIZOの1980 x 1280のモニターを使ってきたが、明らかに文字一つ一つがシャープで見やすく、色鮮やかさが鮮明に映し出されつつも、IPS Blackのおかげか、それまでのモニターにあるようなぼやっとする感はなく、本当に隅々まで引き締まっているのを感じられる。
趣味でInstagramでポートレート写真を公開しているが、Canon EOS R5のミラーレスカメラを使って撮影した人物や風景写真はレタッチを行っていて、書き出した高解像度写真をこの31.5インチの4Kモニターで閲覧すると、その写真が持つ空気感や解像度に、まさに息を呑むような美しさや雰囲気に飲み込まれて思わず自己陶酔してうっとりせざるを得ない。
4Kでなおかつ31.5インチという迫力と微細さを伴った美麗体験を一度体験すると、過去のモニターにもう戻れない。
ここでいくら美辞麗句を並べても伝わらないと思う。電気量販店で見る機会あるようなら、ぜひ体験してほしい。
USB Cケーブル1本にまとまる技術の恩恵
27インチモニターU2723QEでも触れたことだが、U3223QEのモニターと自分が使用しているノートPCのMacbook ProをUSB Cのケーブルを1本接続するだけで充電とモニターへの映し出しが同時にできるようになっている。
それまでは、自宅でHDMIケーブルと充電ケーブルをMacbook Proに接続して作業をしていたことがしばしばあるが、職場の事務所に出て愕然とするのが、充電ケーブルと充電器を自宅に置き忘れるということだ。
USB Cケーブルに1本にまとまること自宅にそれを置きっぱなしにし、リュックの中に常時充電ケーブルと充電器を入れておけるので、忘れることもなくなった。
置き忘れ解消とモニター周りのケーブルが減ることの利便性も、やはり体験すると過去のモニターに戻れなくなる。
背面のスタンドの中にケーブルを収めて見た目を綺麗にまとめることができる。スタイリッシュな背面のシルバーボディーはMacbook Proにピッタリだ。DELLのロゴは背面に印字されているので、前面で主張することもなくスッキリする。
有線LANケーブルで高速アクセス
これも27インチモニターU2723Qと同様の利便性の高い事だが、モニターには有線LANケーブルを接続するための差込口が背面にある。
モニターに接続しているのは、左から電源ケーブル、USB Cケーブル、LANケーブルの3本だけで、ノートPCと接続しているのは真ん中のUSB Cのケーブルだけ。LANケーブルをノートPCの本体に接続する必要はない。
USB Cケーブル経由で有線でインターネットに接続できるようになるのだが、これの何がいいかというと、Wi-Fiよりも高速でインターネットに接続できるということだ。
2022年9月22日 8:30頃に自宅のWi-Fiでインターネットの接続速度を測定した結果が下記図。
同様に有線LANケーブルで接続した速度の結果。こんなにも違うのかと、Wi-Fi接続の不安定さに少し愕然となる。
以上のことから、Macbook ProのノートPCをUSB Cケーブル1本でモニターと接続すると以下のような恩恵を受けられるということになる。
- 充電ができる
- モニターにPCの画面を映し出せる
- 接続するケーブルが減り、モニター周りがスッキリする
- 有線LANケーブルで高速でインターネットに接続できる
重さがややあるが、組立簡単
モニター本体自体は約5.6Kgでスタンドとスタンドプレートと合わせると、約10Kgになる。取り出す時に最初にスタンドプレートを取り出すことになるが、これが結構な重さがある。モニター本体がそれなりの重さがあるので、やはりそれを支えるにはそれなりの重さが必要になるということだろう。
モニター本体とスタンド、スタンド用プレートの3つを組み立てることになるのだが、モニターが収められている箱から取り出して組み立てるまでが凄くスムーズで簡単にできるようになっている。
個人的にはダンボールから取り外して組みてるまでの設計がよくできていると感じる。
一度、机の上に置いてしまえば、動かすことはそうそうないだろうが、重さには気をつけたい。
縦置きにするとそれなりに迫力がある。店舗でのディスプレイ展示に使える。
デイジーチェーン利用の場合は確認を
U3223QEは、MST(マルチストリームトランスポート)のデイジーチェーン接続に対応しており、下記の図のようにノートPCからUSB Cケーブルを最初のモニターに接続すれば、そのモニターからさらにケーブル経由で他のモニターに接続することができるようになっている。
これの利点としては、例えばノートPCに1本だけケーブルを接続すれば複数台のモニターが直ぐに使えるようになったり、ノートPCのように映像出力端子が1つしかない場合には便利だ。
31.5インチのモニターはそこそこの大きさがあるので、流石に31.5インチを複数台をつなげて利用する人はそこまでいないと思うが、利用する場合にはこのような利便性がある。
残念ながら、Macbook Proは記事執筆時点ではこのデイジーチェーンには非対応だ。直接PCに複数のケーブルを接続する必要があるので、Macでデイジーチェーンを期待して購入しないようにしたい。ちなみに、試しにデイジーチェーンで接続してみたが、モニターがミラーリングされてしまう。
Appleシリコン搭載のMacであれば、搭載しているCPUのチップによって、最大で5台まで接続できる。詳細はAppleのサイトを。
WindowsのデスクトップPCの場合には、MSTオプションでDP1.2に認証されているDP(ディスプレイポート)の対応のグラフィックボードが必要だ。自宅にWindows 10のデスクトップPCがあったが、ディスプレイポートが古く対応してなかったために検証はできなかった。
接続方法を下記のリンクに貼り付けたので参考に。
参照 DELL U3223QEのDPでのデイジーチェーン接続方法(PDF)
ノートPCの場合には映像出力ができるUSB Cが必要となる。
参照 DELL U3223QEのUSB Cでのデイジーチェーン接続方法(PDF)
モニターの横線・チラツキ問題
U3223QEのモニターが届いてワクワクしながら確認をしていたら、ふと、モニターに薄い1pxほどの横線やチラツキが発生した。それも頻繁に。
自分の知識やネットでの情報を検索しながら対処法を探したが、結局、モニターが届いた当日に解決できず、モニターに原因があるのかと購入したAmazonに連絡して届いた当日に連絡をして返品交換をして貰うことにした。
しかし、交換してもらったモニターも頻度は下がったものの、同様の現象に見舞われる。
自宅のWindowsでは発生しないように思われたので、Macでの問題なのかと少し絞れたが、Macは昨年購入したばかりの新しいMacbook Proでは横線は表示されないし、6月に購入した27インチモニターU2723QEでは、3ヶ月使用したのに特に問題が発生しなかった。
最終的には、輝度とコントラストの設定でそれぞれを50%ずつで設定した状態で、Mac向けのStayというアプリやデルが配布するDisplay Managerというソフトウェア、Adobeの写真レタッチソフトLightroom、動画編集ソフトDavinci Resolveなどのアプリを使うと問題発生するという事が分かり、記事執筆時点では輝度50%、コントラスト51%(必要に応じて前後の数値で調整)に設定することで落ち着いたが、引き続き様子を見ていきたいと思う。
状況的にはU3223QEが原因である可能性が高いが、ネットで検索するとMacのモニターで発生している人もいるので相性問題や、デルのモニター以外でも「モニター 横線」で同じような症状の人がいるようだ。
対処するまでにやったことをまとめたので、同じような症状が出た場合には参考にしてもらえれば。
参照 DELLのディスプレイで横線やモニターのちらつきが発生した時にやったこと
PIP/PBPにおすすめなモニター
U3223QEは、PIP(ピクチャー・イン・ピクチャー)とPBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)に対応しているが、この機能を利用したいなら間違いなくこの31.5インチサイズのモニターサイズがおすすめだ。
PIP/PBPは、いずれも異なる2台のPCの表示を1つのモニターで表示する機能であるが、下記のような違いがある。
- PIP
- メインのPC画面の中の一部に別のPCの画面を表示。iPhoneなどのスマホなどでも使われる
- PBP
- 2台のPCの画面を均等に隣り合って並べて表示
PIPは、「ながら作業」向きの機能で、例えばMacbookのノートPC作業をしつつ、Windowsで動画のレンダリング状況を確認したい時なんかに便利だろう。
PBPは、仕事などの関係でWindowsとMacの表示を確認する必要がある人、特にHTMLコーディングをする人にとってはこのPBPは非常に利便性が高い。均等で1920px x 2160pxとほどよい大きさで画面が分割されて確認ができるからだ。下記写真はPBPの画面で、分かりやすいようにWindowsとMacの壁紙を設定してみた。
PIP/PBP利用時には、KVM機能も役に立つ。KVMは、Keyboard(キーボード)、Video(モニター)、Mouse(マウス)の頭文字を取ったもので、有線のキーボードとマウスをモニターにケーブル接続することで、WindowsとMac間でそれらを共有して利用できる。
ただ、Macに切り替えてキーボードを利用したいと思って切り替えようとすると、キーボード設定アシスタントが毎回起動してしまうというバグ的な問題があるのが残念だ。これはMacの問題だ。
KVMについては有線接続となるので、場合によってはBluetooth対応機器を利用するのも手だ。
スピーカーは付いていない
スピーカーは付いていないが、音声出力端子が付いている。なので、そこからケーブルで外部スピーカーに出力して聴くか、Bluetoothスピーカーを利用するのがいいだろう。
外部スピーカーだが、個人的には、現在Bose Smart Speaker 500のスマートスピーカーの導入を検討している。実際に家電量販店で試聴してみると、音の広がりがかなりあり、部屋で映画鑑賞をさらに楽しみたいなら間違いくこれかなと感じている。Wi-Fi接続、Bluetooth接続に加え、無線による不安定さを回避したいならステレオミニジャックも利用できる。
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DELL U3223QEがおすすめな人
10日間ほど使用した感じでは、DELL U3223QEをお薦めしたいのは下記のような人。
- 大きな画面領域で複数のウィンドウを開いて仕事の作業効率を上げたい
- 写真のレタッチ、写真を趣味にしている
- 複数のウィンドウを開いて調べ物をしながらライティングするライター
- 動画クリエイター
- Web制作に携わっている、特にプログラマー、コーダー
- PCモニターでそれなりの迫力で映画鑑賞したい
- Windows、Macなど、PC2台持ち
- 机の上のモニター周りをスッキリさせたい
- ノートPCだけど有線LANケーブルでネットを高速・安定で利用したい
- ノートPCの持ち出しで充電器やケーブルをよく置き忘れる
DELL U3223QEレビューまとめ
迫力のある画面サイズ&美麗な映像でゲーム用に利用したいという事も考えられるが、リフレッシュレートが60Hzなため、ゲームなら動きがもっと滑らかになる120Hz以上のモニターを使いたいところ。
輝度・コントラストの問題による横線やチラツキがあったものの、これは果たして他の人にも当てはまるのかわからないが、IPS Blackによる超美麗な画面の美麗な部分はさることながら、複数のウィンドウを開いての作業の効率アップ、映画鑑賞の迫力、複数のPC持ち時のPIP/PBPなど、マイナスポイントを上回る要素がこのPCモニターにはあるのが結論だ。
また、27インチとどちらかで悩んでるのなら、間違いなく31.5インチモニターをおすすめする。
色々と述べたが、DELL U3223QEをおすすめする最大の理由は、自分が惚れ込んで買い増しをしたということだ。
DELLの公式サイトでも売っているが、記事執筆時点ではAmazonの方が安いし、ヨドバシカメラのサイトでは販売していない。