DJI RS 3 Proに続いて、久しぶりのジンバルDJI RS 3 miniのレビューをしてみたいと思う。
目次
DJI RS 3 miniのスペック
DJI RS 3 miniのスペックは下記の通りで、カメラの対応機種に関しては公式サイトのページを確認してもらえれば。
DJI RS 3 miniのスペック | |
---|---|
価格 | 51,480円 |
重量 | 縦向き 795g 横向き 850g |
積載量 | 2.0kg |
拡張性 | – |
軸ロック | 手動ロック |
軸アーム素材 | アルミニウム合金 |
クイックリリース プレート | 2層式クイックリリースプレート(カーブ状配置ガイド付き) |
安定化アルゴリズム | 第3世代RS安定化アルゴリズム (SuperSmoothモードなし) |
シャッター接続 | Bluetooth、シャッターレリーズケーブル |
パラメーター設定画面 | 1.4インチ LCD フルカラータッチ画面 |
フォーカス システム | – |
映像伝送システム | – |
拡張ポート | NATOポート × 1 USB-C制御ポート × 1 |
バッテリー設計 | 取外し不可 |
動作時間 | 10時間 |
充電時間 | 2.5時間 |
DJI RS 3 miniのレビュー
持ち運びが楽な軽量ジンバル
DJI RS 3シリーズの中でも最軽量のモデルとしてのDJI RS 3 miniだが、確かに既に所持しているDJI RS 3 Proよりも約半分近くの重さや大きさの違いがある。
手にした瞬間に「軽い」と思わずにはいられなかった。
DJI RS 3 miniとDJI RS 3 Proを並べてみると明らかにDJI RS 3 Proの方が大きく、やはり外に出た時にはそれなりに目立つのは間違いない。
インスタのリールにモデルさんを使った動画を公開したりしているが、以前に、モデルさんと写真・動画撮影する時にカメラ用リュックに下記のようなカメラなどの荷物を色々と詰め込んで背負って移動していたのだが、詰め込みすぎて一週間ぐらい腰を痛めたことがあった。
- カメラ本体
- カメラレンズ x 2
- ジンバル
- ケーブル類
- レンズフィルター
- ノートPC
DJI RS 3 miniは、上記の荷物ならレンズ一つを置いて移動できるぐらいの荷物量になる。
そういう意味では、軽さが約半分に減るのは本当にありがたいし、気軽に外に持ち出せる気持ちが増える。
ちなみに、DJI RS 3 miniはジンバルをしまうためのケースが付属していないが、筆者はジンバルを持ち運ぶ時はカメラリュックのTENBA Axisというモデルを使っていて、カメラ、レンズとジンバルを詰め込んで背負っている事が多い。
ケースに入れたジンバルを手で持ちたくないのと、TENBAのカメラリュックはサイドからカメラをすぐに取り出せるようになっているので、モデルさんと移動しながらの撮影に重宝している。
デザインが少しゴツいので、ハクバのカメラリュックの方がスマートなデザイン、上下2気室構造、横からカメラが取り出し可能、お手頃価格でこっちの方に乗り換えたい気持ちはある。
バッテリーは取外し不可
これまでにも、DJI RS 2やDJI RS 3 Proを使ってきたが、これらのモデルはいずれもバッテリーの取外しが可能なモデルだった。
バッテリーがヘタってきたらDJI RS 2、及びDJI RS 3 Proならバッテリーの取外しが可能なので、交換すれば良い。
しかし、DJI RS 3 miniはバッテリーが本体と一体型のモデルとなっており、バッテリーがヘタってきたら本体を丸ごと交換する必要がある。
と言っても、入門的なモデルとしての位置付けであると考えられるDJI RS 3 miniはそこまで使い込むという人はそうそういないと思うが、そもそもそこまで使い込む予定があるならバッテリー取外しが可能なDJI RS 3などのモデルを選ぶべきだろう。
バッテリーの充電は下記のように本体にUSB-Cのケーベルを付けて充電する。
縦置き撮影が可能だが再設置が必要
今どきのSNSの動画投稿は縦画面が増えてきているが、DJI RS 2やDJI RS 3 Proの不満点として、カメラを縦置きにして撮影が出来ないというのがあった。
これまでは、EOS R5の8Kで撮影して必要な箇所をクロップして縦画面にして見せていた。
しかし、遂にDJI RS 3 miniではやっとカメラを縦置きにして撮影ができるようになった。下記は縦置きで設置したものだ。(ブリーフケースハンドルはDJI SR 3 Proの付属品)
ただ、残念なのは横向きで撮影したカメラを縦置きにして撮影するには一旦プレートを外して再度取り付ける必要がある。これは少し煩わしい。
動画撮影は普通の写真撮影よりも遥かに色々と煩わしさや面倒臭さがあるので、できるならこのプレートの取外しをしなくてもできるように進化してくれることを望む。
長いレンズは注意が必要
Canon EOS R5にドロップインフィルターマウントアダプターEF-EOS Rを取付けてEF24-70mm F2.8L II USMのレンズを使って動作検証してみた。
マウントアダプターは、EOS RのカメラでEFレンズを使うためのもので、使う最大の理由として昼間の屋外撮影に不可欠なNDフィルターを使うために使っている。
カメラとレンズ、マウントアダプターで全体的に長い状態になってしまったが、一応は設置できる。
ただ、焦点距離を70mmにすると当然ながらバランスが変わるので、ジョイスティックでチルト操作した場合にジンバルのアーム部分に微妙に引っかかる場合がある。焦点距離を50mmの設定ならギリギリいけた。
ジョイスティックを使っての手動によるチルト操作は特にぶつかる可能性があるので細長いレンズは気をつける必要があるものの、焦点距離70mmでレンズを伸ばした場合でもジンバルに合わせて動きが追随するパンフォローモード、及びパン&チルトフォローモードなら使用は可能だ。
下記のようにチルト操作するとファインダーの接眼部分が当たる。
安全に使いたいならやはりDJI RS 3かProをおすすめする。
水平アームのバランス調整が残念
DJIのジンバルは、設置が完了したらバランス調整をする必要があるが、DJI RS 3 miniの水平アームのバランス調整で少し残念な事があった。
下記写真は水平にして画面中央のロック金具をロックする前の状態である。
写真中央のロック金具を後ろへロックしようと後ろに動かしたら、水平にしていたはずのカメラが全体的に後ろへバランスを崩してしまったのだ。
何回かやり直したがやはり同様に水平だと思っていた位置がズレてしまう。仕方ないので、それを意識して少しカメラ全体が前に倒れ込むようにしてからロックを掛けることで水平バランスが取れた。
また、DJI RS 3 Proなどには、チルト軸の奥行きのバランス調整するのノブを回しながら微調整できるノブが付いているが、やはりこれがないと少し不便と感じる部分はある。
自撮りがしやすくなった
ジンバルが軽くなった恩恵で軽さや大きさ的に自撮りがしやすくなったと少し感じた。さすがに観光地などでProモデルで自撮りするのは気が引ける気がするが、miniサイズならスマホのジンバルのような感覚で使える。
自撮りはジョグダイヤルの下にあるボタンを3回押すとカメラの向きが後ろに変る。
少し分かりづらいかもしれないが、下記の写真はカメラが後ろ向きになって自撮り状態になっているものだ。ボタンを2回押すと元の向きに戻せる。なお、自撮りするならバリアングルモニターの向きを反対に変えられるカメラをおすすめする。
自動ロックはないけど慣れれば気にならない
DJI RS 3 miniで初めてアームの組み立て、設置した時は少々戸惑ってしまった。軽量化のために工夫して設計したのだと思うが、分かりづらかったというのはある。
一応組み立ての案内動画はあるが、ガジェットはマニュアルを見ずになんとなくで組み立てて使うことが多く、分からない場合にマニュアルを見る事が多いが、個人的にはもう少し分かりやすく改良できるのではないかと感じた。
また、DJI RS 3やProにはアームの自動ロック機能が付いているが、miniには付いていない。完全にアームパーツを組み上げて、終わったら一つずつ分解してしまう必要がある。
慣れないと面倒だなと感じるものの、慣れてしまえばそこまで自動ロックにこだわらなくても良いと感じた。
Bluetoothによる録画でケーブル不要は楽ちん
繰り返しになるが、動画の撮影は機材やら準備やらで色々と煩わしい。なので、可能な限り楽をしたいと考えている動画クリエイターはいっぱいるはずだ。
DJI RS 3 Proでもいいなと思ったのが、Bluetooth接続のおかげで面倒なケーブル接続をしなくても撮影ができるようになったことだ。これは筆者の中では劇的な進化だと感じていたのだが、DJI RS 3 miniでも利用できるのは良い。
ただし、例えばDJI RS 3 miniとEOS R5の互換性にあるように、Bluetoothで接続するとジンバル側で絞りやシャッタースピード、ISO感度を調整できないという問題もある。
ただ、これらはカメラ側で設定して撮影に入るので、移動しつつジンバルで変更するという高度な技術は自分にはないので、さほど気にしていない。Bluetoothを通じて撮影ボタンを押せればいいと考えている。
対応機種以外でもジンバルとしては利用可能
カメラの対応機種の一覧を見ると、DJI RS 3などと比べて全体的に対応機種が少ないように見える。
また、同様にSony製品が充実の対応になっていて、その他のメーカーはやや対応が少ないのではないかのようにも見える。
実際に、筆者はFUJIFILMのX-T5を持っているが、残念ながら一覧には記載がなかった。
しかし、ジンバルからの録画ボタンなどの制御は出来ないものの、積載量以内であればジンバルとしては利用可能だと考えている。
要はカメラの設定や録画ボタンはすべてカメラ本体で行ってしまえばいいし、最近のミラーレスカメラはタッチパネルの特定の場所をタップすれば自動でAIによって認識してフォーカスできたりするので、後はバランス調整をすればパンやチルトの操作はもちろんブレを抑えてくれるジンバル本来のスタビライザーとしての使い方ができるというわけだ。
実際にDJI RS 3 miniと未対応FUJIFILM X-T5で軽く撮影した動画をDavinci Resolveでざっくりと編集してみた。
なお、掲載されていな機種でもリクエストはできるのでしておくといいだろう。RS 3シリーズにとりあえずはFUJIFILM X-T5の対応リクエストは送っといた。
DJI RS 3 miniのレビューまとめ
全体的には、小型化された事によってDJI RS 3やProと比べて長いレンズを使う場合には注意が必要だったり、バランス調整、取付けがやややりづらかったりするのが気になる点としてはある。
動画撮影は写真の撮影と比べて非常に面倒で億劫と感じる。そのストレスを少しでも軽減するような環境づくりをしたいもので、可能なら次のモデルではさらに改良されていることに期待したい。
DJI RS 3 mini自体は、DJI RS 3 Proと比べて圧倒的に軽いので気軽に外に持ち出しして撮影したくなる気持ちを高めてくれる点に最大の魅力を感じる。
DJI RS 3 miniがおすすめな人
- ミラーレスカメラでジンバルを使って動画撮影したい
- とにかく軽いジンバルがいい
- 自撮りしたい人
- 旅行にミラーレスカメラとジンバルを持っていきたい
- 気軽にジンバルを外に持ち出しして動画を撮影したい
- 多少の取付けの面倒くささは慣れでカバーする
DJIのジンバル別比較
商品名 | 画像 | 参考価格 | 重量 | 積載量 | 使用シナリオ | 拡張性 | 自動軸ロック | 素材 | 外観デザイン | クイックリリースプレート | 微調整ノブ | 安定化アルゴリズム | シャッター接続 | 液晶画面 | ショートカット | フォーカスシステム | 映像伝送システム | 拡張ポート | バッテリー取外し | バッテリー動作時間 | 充電時間 | コンボ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DJI RS 3 Mini | Amazon ¥51,480 楽天 ¥51,480 | 縦向き撮影:795 g 横向き撮影:850 g | 2.0kg | 片手持ち ブリーフケース 縦向き撮影ネイティブ対応 | – | – | アルミニウム合金 | 従来型デザイン | 2層式クイックリリースプレート (カーブ状配置ガイド付き) | – | 第3世代RS安定化アルゴリズム (SuperSmoothモードなし) | Bluetooth、シャッターレリーズケーブル | 1.4インチ LCD フルカラータッチ画面 | Mボタン | – | – | NATOポート × 1 USB-C 制御ポート × 1 | – | 10時間 | 2.5時間 | – | |
DJI RS 3 | Amazon ¥66,000 楽天 ¥66,000 | 1.3kg | 3.0kg | 片手操作 両手操作 ブリーフケース ポートレート(アクセサリーを使用) | – | ◯ | アルミニウム合金 | Ronin レッドライン デザイン | 2層式 | ◯ | 第3世代RS安定化アルゴリズム | Bluetooth、シャッターレリーズケーブル | 1.8インチ OLED フルカラータッチ画面 | ジンバルモード スイッチ | – | DJI Ronin 映像トランスミッター | NATOポート × 2 USB-C制御ポート × 3 | ◯ | 12時間 | 2.5時間 | – | |
DJI RS 3 Combo | Amazon ¥79,200 楽天 ¥79,200 | 1.3kg | 3.0kg | 片手操作 両手操作 ブリーフケース ポートレート(アクセサリーを使用) | – | ◯ | アルミニウム合金 | Ronin レッドライン デザイン | 2層式 | ◯ | 第3世代RS安定化アルゴリズム | Bluetooth、シャッターレリーズケーブル | 1.8インチ OLED フルカラータッチ画面 | ジンバルモード スイッチ | – | DJI Ronin 映像トランスミッター | NATOポート × 2 USB-C制御ポート × 3 | ◯ | 12時間 | 2.5時間 | フォーカスモーター(2022) フォーカスモーター ロッドマウントキット フォーカスギアストリップ ブリーフケースハンドル キャリーケースなど | |
DJI RS 3 Pro | Amazon ¥99,000 楽天 ¥99,000 | 1.5kg | 4.5kg | 片手操作 両手操作 ブリーフケース ポートレート(アクセサリーを使用) | カーマウント ステディカム スライダー ケーブルカム ジブ | ◯ | カーボンファイバー | Ronin レッドライン デザイン | 2層式、延長用 | ◯ | 第3世代RS安定化アルゴリズム | Bluetooth、シャッターレリーズケーブル | 1.8インチ OLED フルカラータッチ画面 | ジンバルモード スイッチ | LiDARフォーカスシステム (マルチポイント) | DJI Transmission、DJI Ronin映像トランスミッター | RSAポート × 2 NATOポート × 2 充電アダプターポート × 1 | ◯ | 12時間 | 1.5時間 | – | |
DJI RS 3 Pro Combo | Amazon ¥123,200 楽天 ¥123,200 | 1.5kg | 4.5kg | 片手操作 両手操作 ブリーフケース ポートレート(アクセサリーを使用) | カーマウント ステディカム スライダー ケーブルカム ジブ | ◯ | カーボンファイバー | Ronin レッドライン デザイン | 2層式、延長用 | ◯ | 第3世代RS安定化アルゴリズム | Bluetooth、シャッターレリーズケーブル | 1.8インチ OLED フルカラータッチ画面 | ジンバルモード スイッチ | LiDARフォーカスシステム (マルチポイント) | DJI Transmission、DJI Ronin映像トランスミッター | RSAポート × 2 NATOポート × 2 充電アダプターポート × 1 | ◯ | 12時間 | 1.5時間 | フォーカスモーター(2022) フォーカスモーター ロッドマウントキット フォーカスギアストリップ ブリーフケースハンドル キャリーケースなど | |
DJI RSC 2 | Amazon ¥52,029 楽天 ¥52,030 | 1.3kg | 3.0kg | 片手操作 両手操作 ブリーフケース ポートレート | – | – | アルミニウム合金 | 従来型デザイン | 2層式 | – | 第2世代RS安定化アルゴリズム | シャッターレリーズケーブル | 1インチ OLED 白黒画面 (タッチ操作非対応) | Mボタン | – | DJI Ronin 映像トランスミッター | NATOポート × 2 USB-C制御ポート × 3 | – | 14時間 | 2時間 | – | |
DJI RS 2 | Amazon ¥69,800 楽天 ¥51,480 | 1.5kg | 4.5kg | 片手操作 両手操作 ブリーフケース ポートレート(アクセサリーを使用) | カーマウント ステディカム スライダー ケーブルカム ジブ | – | カーボンファイバー | Ronin レッドライン デザイン | 2層式 | ◯ | 第2世代RS安定化アルゴリズム | シャッターレリーズケーブル | 1.4インチ LCD フルカラータッチ画面 | Mボタン | 3Dフォーカスシステム (シングルポイント) | DJI Transmission DJI Ronin映像トランスミッター | RSAポート × 2 NATOポート × 2 充電アダプターポート × 1 USB-C制御ポート × 3 | ◯ | 12時間 | 1.5時間 | – |