友だちに誘われて人生で初めて富士山に登ったのだが、富士山登山に必要なザックがなかったので、色々と探してたどり着いたのはNORDKAMMというブランドのザックだった。
そんなわけで実際にNORDKAMMを使ってみたレビューをしてみたいと思う。
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目次
NORDKAMMとは?
NORDKAMMは、オーストリアに拠点をおく「世界最高峰アルプス山脈に挑み続けるオーストリアの山岳スペシャリスト集団」だ。
日本においてはノードカムとカタカナ表記されるようだ。
こちらのページのドイツ語の内容をGoogle翻訳で訳してみたが、山岳救助サービスと協力し、2022年から山岳救助活動用の高度に専門化されたバックパックを開発、わずか数年で南チロル山岳救助サービスの装備品メーカーになったとか。
Amazonの商品ページには、2023年4月1日の集計で全世界で1万個以上販売しており、製品自体はベトナムのホーチミンで生産としている。
ノードカム公式サイト
ノードカムの日本におけるサイトはなく、ドイツ語の公式サイトかAmzonのショップページが該当する。
NORDKAMM ANTARES 40の特徴
NORDKAMM自体はブランド名で、そのブランドが開発販売しているザック(リュック、バックパック)としてANTARES(アンタレス)シリーズがあり、下記のように分類される。
- NORDKAMM/ANTARESシリーズ(ザック、バックパック)
- ANTARES Trek & Travel/50L
トレッキング、トラベル向け - ANTARES Alpine/30L、40L
ハイキング、登山向け
- ANTARES Trek & Travel/50L
筆者が購入したのはNORDKAMMのANTARES ALPINE 40(ノードカム・アンタレス・アルパイン40)で、ハイキングや登山向けのものとなっている。
NORDKAMMのANTARES ALPINE 40の主な特徴は以下の通りとなっている。
NORDKAMMのANTARES ALPINE 40の主な特徴 | |
---|---|
人間工学デザイン | 身体にフィットし、身体への負担を軽減 |
フロントオープン | ザックの前面が開き、前面から荷物の出し入れが簡単。ジッパーはYKK製 |
3段階の調整システム | ウェストベルトを3段階で調整可能。ウェストベルトは取り外し可能 |
重さ | 1330g。他ブランドの40Lの似たような商品と比べても軽量な方 |
サイズ | 24x28x54cm。機内持ち込み可能サイズでちょっとした旅行にも使える |
収納 | 貴重品入れ。ノートPCが収納可能 |
速乾ドライメッシュ | 背中の部分は蒸れにくいメッシュの立体構造 |
サイドポケット | 両サイドについており、すぐに取り出したい荷物を収納できる |
ロールトップ | 間口が広く、出し入れがしやすい。巻いて大きさを調整できる |
給水システム | 給水パックをザックの中に入れてチューブを通して簡単に水分補給できる |
防水性能 | 高強度ナイロン生地で、防水性2000mm(中雨程度)。一般的な傘:200mm〜500mm。レインカバー付き |
付属品 | ヘルメットホルダーとレインカバー、正規保証書 |
ノードカム・アンタレス40レビュー
なぜ40Lか?
なぜ、NORDKAMM ANTARES ALPINEの40Lを選んだのか?
筆者は登山が趣味という訳ではないが、キャンプに遊びに行くことがある。また、筆者はカメラが趣味であるということもあってミラーレスカメラを持っているので、登山やキャンプに行くならこのミラーレスカメラを持っていくのは必然的だ。
筆者の場合、40Lを選ぶポイントのまとめとしては下記の通りだ。
- 泊りがけのキャンプに行くための荷物量
- ミラーレスカメラやレンズを収納できる
- カメラ関連の小さいグッズを収納できる
なので、宿泊の荷物や30Lではミラーレスカメラを入れるには少し小さいと感じたし、大は小を兼ねるということで40Lを選択した。一泊二日の衣類や小物、そしてカメラを入れてもまだ多少の余裕があるぐらいだった。
重いミラーレスカメラを持っていったおかげで富士山の登山ではそれなりの写真が撮れたかなと。初めての富士山登山だったが、強風の中で富士山の火口も回るお鉢巡りもして、剣ヶ峰も撮影した。
ザックのデザインがかっこいい
最初に目を引いたのは、見た目のデザインだった。もう、かっこいいしか言葉が出てこない。
口コミの中には同様にやはりかっこいいと述べている人をチラホラ見かける。
もちろん他の要素も含めて検討した上での購入に至ったのだが、やはりこういうのは形からだよねとか思いながら購入した。
また、カラーリングが筆者好みだ。深いネイビーの色にポイントとして赤が入るカラーリングはなんとも言えないかっこよさを醸し出してくれる。
実際に富士山の5合目で背負った背中の姿を友達に写真に撮ってもらったのだが、ザックを背負った時の全体のフォルム、シルエットがいい感じではなかろうか?
縦置きができない
残念ながらこのANTARESは縦置きができない構造になっている。
これまでにも様々な普段使い用リュックサック、カメラ用リュックサックなどを買って利用してきたが、たいていの場合は縦置きが可能で荷物を上部から入れやすかった。
しかし、ANTARESは縦置きができないので寄り掛かれる場所や横に置いて荷物の出し入れをするスペースが必要となってくる。
人間工学で高いフィット感と負荷軽減
デザインもさることながら、購入の意思決定の要素として高かったのが「人間工学」に基づいて開発されたという点がある。
筆者は製品を買う時には、デザインが「人間工学」に基づいた製品であれば、なるべくそれを購入するようにしている。
人間工学はエルゴノミクスとも呼ばれており、人間の身体の解剖学、生理学、生物力学といった要因を基に、人間にとって使いやすく、安全で、快適な製品やシステムを設計、開発をすることを指す。
これまでにも様々な人間工学に基づいたデザインの商品を使ったことがあるが、やはり快適性、使い心地は他の製品とは違うことを感じているが、ANTARESのザックを背負いウェストベルトを締めるとその時点で、「あぁ、しっかりとフィットして体にハマり、これは確かに楽だ」と感じさせてくれた。
筆者は下記と同様のカメラリュックサックを持っているが、同じ重さの荷物を入れて歩いたり階段を登り降りをして比べてみたが、明らかに人間工学に基づいたデザインのANTARESの方が楽だと感じた。
初めての富士山登山は間違いなくしんどかったが、その負担を少し減らすという意味では、筆者の中ではこの人間工学デザインは、購入に至った最大の理由の一つと言っても過言ではない。
フロントオープンのダブルジップが便利
通常のリュックサックだと上部から順に荷物を入れてしまうのだが、それだと下に入れた荷物を取りづらいという問題がある。
このANTARESは、前面のダブルジップでザックを開いて荷物の出し入れをすることができ、通常のリュックサックの上部からの荷物の出し入れよりも容易に出し入れができるようになっているのが便利だ。
これは口コミでも評判の機能となっている。
下部に入れた荷物が上部からしか取り出せないものと比べて取りやすくなっているので凄く便利。特に登山で疲労が溜まっているとザックの下部に入れた荷物の出し入れが億劫になることもあるのでやはりこれは購入を検討すべき高いポイントの一つと言える。
フロントオープンのジッパーを開くと下記画像のように内側にさらにものを入れられる仕切りがある。
また、ジッパーには評価の高いYKKが使用されており開閉がスムーズだ。海外のバッグはYKKのジッパーを採用するブランドが多いが、個人的にもリュックサックやバックパックなどの買い物はこのYKKのジッパーが付いているものがおすすめだ。それ以外だと壊れやすかったり開閉がスムーズではなかったりする。
荷物の詰めすぎに注意
上述したようにフロントオープンは便利であるが、一つ問題点がある。荷物を詰め込みすぎるとジッパーの開閉がやりづらいということだ。
今回は下記の記事のように、レインウェアと初めての富士山であるのにも関わらず実験としてスノーボードウェアを持っていったり、ミラーレスカメラと大きめのレンズを持っていくなど、かなりの荷物になってわりとパンパン状態になった。
荷物を詰め込みすぎるとザックが膨らんでジッパーの開閉が少しやりづらくなった。サイドを抑えながらじゃないと締めづらいので、荷物の詰め込み過ぎには注意したい。
ペットボトルが取りづらい
初めて登山向けのザックを買ったのだが、不満点の一つとしてサイドポケットに入れたペットボトルが非常に取りづらいというのがある。
これはこのNORDKAMMのANTARESのザックだけに言えることではないが、リュックサックなど全般にも言えることでサイドポケットに入れたペットボトルは取りづらく、登山途中でザックのウェストベルトを外してさらにザックを肩から外さないとペットボトルが取りづらい。
また飲み終わったら仕舞ってザックを背負ってウェストベルトを締めるのは疲労が溜まっている時はストレスを感じる。
これらの対策としては2つの方法がある。
1. 給水システム(ハイドレーション)の利用
1つ目の対策は、ANTARESのザックは給水システム(ハイドレーション)に対応しており、給水パックをザックに入れてチューブを専用の穴から通すことで簡単に給水ができるようになっている。
ネットで持参する荷物の情報を収集する時にペットボトルの紹介があったので、ペットボトルでの給水しか頭になかったがこの給水システムを利用した方が楽だろう。
2. ボトルホルダーの利用
一緒に富士山に登山した友達はザックのショルダーハーネスにボトルホルダーを付けていたのだが、これが2つ目対策「ボトルホルダーの利用」だ。ショルダーハーネスに取り付けることで手軽にペットボトルの水が飲めるようになる。
ロールトップの使い心地
これまでリュックサックは、リュックサックの上部のジッパーがついているものを使うのが基本だったが、今回は初めてこのロールトップのザックを使ってみたことになる。
ロールトップの面白いところは荷物が増えた場合には広げることで更に収納ができ、荷物が減った時は丸めることでよりコンパクトにザックを利用する事ができると感じた。
ただ気をつけなくてはいけないのは、ちゃんと丸めて閉めないと開口部分が、少し開いた状態のままになってしまう。
3段階の調節が可能なアジャスターベルト
登山用のザックを買うなら絶対にウェストベルトがあるものを選んだ方がいいのだが、このNORDKAMM ANTARES 40のウェストベルトは体型に合わせて3段階に変更できるアジャスターベルトになっている。
個人的にはこの3段階に変更できるアジャスターベルトのおかげでかなり体にフィット感が得られるのかなと感じた。
若干、調整するのがやりづらいものの、1度設定をしてしまえばそんなに変更することはないと思うので、さほど気になる点はないのではかと。むしろ、簡単にズレるようなものだと逆にストレスや疲労の原因になりかねない。
すぐに取り出したい時に便利なサイドポケット
サイドポケットは両サイドにあり、すぐに取り出したいちょっとした小物を入れておくには便利だ。
筆者はとりあえずiPhone 11 Proを入れていつでもすぐに取り出せるようにしていたが、iPhone 11 Proのサイズでギリギリ入る感じなのでそれ以上のスマホのサイズだと収納は難しい。
カメラリュックサックとして使えるか?
先述したように筆者はミラーレスカメラを入れて富士山に登ったわけだが、カメラリュックサックとして使えるかについて述べてみたいと思う。
まずは、人間工学デザインに基づいて設計されているので、ある程度の重い荷物も持ち運びの負担はかなり軽減される。ただし、以下の問題がある。
- カメラ用リュックサックみたいに仕切りがないので、カメラ関連の小物グッズは袋などでまとめて収納する必要がある
- 背中部分には軽量のアルミニウムパネルが入っているが、それ以外の部分ではカメラ保護のためにクッション性のあるものでカメラを保護した方がいい
これらを考慮した上での利用なら、けっこうな荷物があるカメラ機材の持ち運びは人間工学デザインで負担を軽減できるカメラリュックサックになるかなと。
ちなみにノートPCを収納できる仕切りもあり、所持しているMacbook Pro 14インチが余裕で入る。
他の40Lのザックとの価格・機能比較
記事執筆時点でのNORDKAMM ANTARES 40の価格は¥17,980となっていて、他のブランドのザック40Lの商品をざっくりとピックアップして価格や機能を比較してみたが、NORDKAMM ANTARES 40はわりとコスパ的には安い方なのではないかという印象を受ける。
画像 | 商品名 | 参考価格 | ワンポイント | 容量 | 重量 | サイズ | 人間工学 | フロントオープン | サイドオープン | ウェストベルト | 背面メッシュ | YKKジッパー | 給水(ハイドレーション) | ユニセックス | 素材 | 付属品 |
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NORDKAMM ANTARES ALPINE 40 | Amazon ¥17,980 楽天 ¥17,980 ヤフー ¥21,286 | 人間工学に基づいたデザイン | 40L | 1.33kg | 54 x 28 x 24 cm | ◯ | ◯ | – | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 高強度ナイロン | ヘルメットホルダー、レインカバー、正規保証書 | |
オスプレー ケストレル38 | Amazon ¥27,500 楽天 ¥27,500 ヤフー ¥27,500 | 従来モデルよりバックパネルが立体的なデザイン | 38L | 1.54kg | 75 x 31 x 29 cm | – | – | ◯ | ◯ | – | – | ◯ | メンズ | ナイロン | レインカバー | |
グレゴリー ズール40 | Amazon ¥32,800 楽天 ¥22,000 ヤフー ¥22,000 | サポート力の高い新しいフリー・フロート・サスペンション | 40L | 1.33kg | 66 × 31.1 × 27.9 cm | – | – | ◯ | ◯ | △ | – | ◯ | メンズ | – | レインカバー | |
カリマー ridge 40+ Small | Amazon ¥20,677 楽天 ¥27,500 ヤフー ¥27,500 | ヘルメットの着用を想定したリッドデザインを採用 | 42~47L | 1.48kg | 65 x 32 x 23 cm | – | △ | ◯ | ◯ | – | – | ◯ | レディース | ナイロン | レインカバー | |
ドイター フューチュラ プロ 40 | Amazon ¥26,431 楽天 ¥26,431 ヤフー ¥26,431 | 歩行中の足の動きに応じてヒップフィンがピボットして追従 | 40L | 1.62kg | 65 x 32 x 24 cm | △ | – | – | ◯ | ◯ | – | ◯ | ◯ | ナイロン | レインカバー | |
モンベル バーサライトパック40 | Amazon ¥19,500 楽天 ¥33,612 | 背負い心地や機能性を確保しながら、大幅な軽量化を実現 | 40L | 0.71kg | 69 x 33 x 19 cm | – | – | – | ◯ | – | – | ◯ | ◯ | バリスティック®ナイロン | – | |
ザノースフェイス テルスフォト40 | Amazon ¥20,790 楽天 ¥22,550 ヤフー ¥22,550 | 撮影機材用のスペースを設けた山岳カメラマン向け | 31~40L | 2.23kg | 67 x 28 x 22 cm | – | – | ◯ | ◯ | – | – | – | ◯ | 330D Duramax®ナイロン | レインカバー | |
ミレー サースフェー 40+5(SAAS FEE) | Amazon ¥23,001 楽天 ¥23,100 ヤフー ¥23,100 | 国内のニーズに対応した機能とフィッティングを採用した日本企画仕様 | 40+5L | 1.57kg | – | – | – | △ | ◯ | ◯ | – | ◯ | メンズ | コーデュラ®ナイロン | レインカバー |
NORDKAMM ANTARESレビューまとめ
初めて購入した登山用ザックではあったが、ペットボトルが取りづらい(対策はある)、縦置きができないなど少し気になる点はあるものの、見た目のかっこよさと人間工学に基づくフィット感と負担の軽減は個人的にはたいへん満足の高いものを購入できたと考えている。
NORDKAMM ANTARES 40のおすすめな人は下記の通り。
- 人間工学に基づいたザックを利用したい
- 登山時のザックを背負った時の負担を軽減したい
- 宿泊予定の登山やキャンプに行く人でそれなりの荷物がある
- 登山用のかっこいい、おしゃれなデザインのザックを使いたい
- 背負っても蒸れにくいザックを使いたい
- 荷物の出し入れが簡単なものがいい
- 給水システムがあるもので、楽に水分補給したい