最近のノートPCはタッチパッドの精度が向上し、反応が良く滑らかでスムーズに操作ができるようになっているが、それでもやはりPhotoshopやLightroom、Davinci Resolveなどのクリエイティブなソフトウェアを使用しているとどうしても非常に細かい操作を必要とする場合には、やはりマウスが欲しくなってくる。
そう思って良さそうなマウスはないかと思って購入したのが、Logicool(ロジクール)のMX MASTER 3sのマウスだ。MX MASTER 3sについてのレビューをしてみたいと思う。
目次
MX MASTER 3sレビュー
重さは141gで、そこまで軽いというわけではないが、手が比較的に小さい筆者の手には違和感なくフィットする。
DJI MicのテストでMX MASTER 3sの開封的な動画をミラーレスカメラで撮って編集してみた。
回す速度によってホイールの挙動が変わる
最初にMX MASTER 3sのマウスの挙動で面白いなと思ったのは、MagSpeed電磁気スクロールホイールだ。
マウスをゆっくりと回せば、歯車に噛み合ったように1段ずつホイールが細かい動きをするのだが、速いスピードで回すとまるで歯車が自動で取り外されて摩擦で押さえつける物がないような感じでホイールがスムーズに回転し高速スクロールする。
しかも、噛み合わせる要素がないので音もなく静かにスムーズにスクロールする。
筆者はHTMLのコーディングで1,000行の記述もあったりするが、この1,000行のスクロールもスムーズだ。
マウスを回す速度によって、それはまるでホーイルが意思を持ったかのように感じさせてくれる事に少し感動を覚えた。
クリック音やホイール操作音が静か
上述したように、ホイールを速く回すと無音と言っても過言ではないぐらいに静かにホイールは動作し、さらにはMX MASTER 3sが売りにしているクリック音も静かだ。
以前は、MicrosoftのSurface Precision Mouseというマウスを使っていたが、クリック音を聴き比べてみると確かにMX MASTER 3sの方が圧倒的に静かだ。
筆者はマウスのクリック音はまったく気にしないタイプだが、気になる人は検討してみるといいだろう。
ジェスチャーボタンが使いにくい
このMX MASTER 3sには、ジェスチャーボタンというのが付いている。写真の赤丸で囲ってる突起物の部分だ。
ジェスチャーボタンを押すと、ウィンドウの一覧画面を表示したり、ジェスチャーボタンを抑えたままドラッグすることでWindowsメニューを表示したり、ドラッグしたまま左右にドラッグでデスクトップ画面の切り替えが出来たりで、マウスから手を離さなくても様々な操作ができるのは凄く便利だ。
しかし、筆者の指や手のサイズが少し違うことによる相違があるかもしれないが、このジェスチャーボタンの位置が惜しいと感じざるを得ない。
というのは、あくまでも筆者の場合だが、親指を自然にマウスに添えて置くと「戻る/進むボタン」の位置に近い場所に置くことになる。
ジェスチャーボタンの位置が「戻る/進むボタン」の位置から少し離れているため、多少なりとも親指を動かしてからジェスチャーボタンを押す必要が発生するのだ。
写真で解説すると以下の感じ。「①で親指をジェスチャーボタンに寄せて、②の方向に親指を押す」という流れで、2回の操作が必要になる。
特に、②の親指を置いている向きとボタンの親指の腹(指紋がある部分)が互いに向き合っていないため、親指の横あたりで押す必要があるためやや押しづらくなってしまっている。
技術的な問題があるかもしれないが、もしMX MASTER 4が開発されるのなら、下記の写真の赤丸位置あたりにクリックボタンと同じぐらいの押し心地のボタンを配置して欲しい。この方が人間工学デザイン的思考に考えるなら親指の向き的に押しやすさが増すのではないかと。
しかし、これはある程度使い慣れてくれば、人によってはそこまで気になることでもないかもしれない。
ガラスの上でもスムーズなカーソル操作
大昔のマウスなら専用のマウスパッドを使わないとスムーズなマウス操作ができなかったり、ガラスの上に置くとまともに操作ができなかったりしたものだが、最近のマウスはガラスの上でも問題なくスムーズなカーソル操作が可能となっている。
筆者の自宅の机はガラスとなっていて、そのガラスの上でもスムーズに操作ができるようになっている。
8K DPIセンサーで高解像度モニターも操作がスムーズ
MX MASTER 3sは、高解像度モニター向けに8K DPIでセンサーの速度でポインタ設定ができ、ポインタの速度を変更できる。そのため高解像度の大型モニターでもスムーズにカーソルポインタ操作ができようになっている。
実際にDELL U2723Qの27インチモニターで解像度を3840 x 2160に設定して操作を試してみた。
解像度を3840 x 2160で設定してオブジェクトをドラッグしてみると、確かに8K DPIのポインタ速度で設定した場合の方が体感的にスムーズに操作できる。
ただ、27インチモニターで解像度を3840 x 2160で設定すると文字などが非常に小さくなってしまうため、Macの場合は解像度3008 x 1692で設定して使用している。そのため、解像度3008 x 1692で設定して8K DPIで設定しても恩恵はそこまで感じられない。あくまでも体感的なものかなとは感じている。
モニターの解像度を4Kの3840 x 2160以上で設定して使用していて、マウスポインタの動きがイマイチだと感じている人は検討してもいいかと。
関連 Dell U2723QEのレビュー。U2723QXとの違いは?IPS Blackの4K27インチモニター
ボタンの割り当てが便利
Logi Options+というソフトウェアをインストールすることで、MX MASTER 3sは2つのホイールと最大5つのボタンに様々な操作やショートカットを割り当てることができるようになっている。
- スクロールホイール
- サムホイール
- ミドルボタン
- Shiftホイールモードボタン
- 戻るボタン
- 進むボタン
- ジェスチャーボタン
Logi Options+の設定画面
パソコンの操作は基本的にショートカットを利用することが多いが、マウスを利用する場合はどうしても片手をキーボードから離す必要があり、毎回、手をキーボードとマウスの間を行き来させるのは面倒だ。
なので、よく使用する操作やショートカットをマイスのホイールやボタンに割り当てるのは凄く便利だ。また、利用しているPC全体で使用するボタンの割り当てとは別に個別アプリにも割り当てができるようになっている。
筆者がMX MASTER 3sを利用する最大の理由は、AdobeのPhotoshop、Illsutrator、Premiere ProやDavince Resolveなどのクリエイティブなソフトウェアで使用する事にあると考えているが、マウスのスムーズな操作だけでなくマウスで完結できるショートカット的な機能はものすごく重宝する。
同様にLogi Options+のアプリもシンプルで使い心地も良い。
反復操作がスマートアクションでさらに便利になる
Logi Options+のアプリではさらにスマートアクション(Smart Actions)機能が使える。
これは、PCを起動して例えば特定のマウスのボタンをクリックしたら指定した複数のアプリケーションを起動して作業がすぐに開始できるようにする、などの使い方できるものだ。マクロ機能とも呼ばれる。
これでさらに作業効率を上げることができるのも嬉しい。
LOGI BOLT USBレシーバーはType Aのみ
MX MASTER 3sには、LOGI BOLT USBレシーバーが同包されている。これは下記のような特徴がある。
- 脆弱性を軽減するように設計された暗号化による無線接続
- ワイヤレス無線による干渉を強力に軽減
- 低消費電力
- 最長10メートルの接続
- 最大6台のLogi Boltワイヤレスマウスとキーボードをペアリングできる
関連 Logi BoltとUnifyingとの違いは?対応製品や互換性についても
Bluetoothは一般に普及しているため多くの人が利用している場合には、無線の混線状態により接続が低下する場合がある。LOGI BOLTはロジクールのワイヤレステクノロジーを採用したUSBレシーバー機器で、この混線状態を回避するためのものとして同包されている。
ロジクールのLogi Bolt対応マウスやキーボード製品を6台接続できるということだが、それの恩恵は見当たらない。しかし、Bluetoothが使えない環境、Bluetoothで接続がイマイチだと感じているなら試してみるのも手だろう。
これもLogi Options+のソフトウェアから簡単に追加して利用でき、操作も問題なくスムーズに使うことができた。残念なのは、LOGI BOLTがUSB Type Aの対応しかしていないということだ。
筆者が利用する様々なデバイス機器は、殆どがUSB Type-Cに切り替えをしている。利用しているMacBook Pro 2021やSurface Laptop StudioのポートはいずれもUSB Type-Cしかない。
今は、USB Type AとType Cの過渡期かも知れないが、LOGI BOLTを使うためにわざわざUSBハブを差し込むのは面倒だったりする。
幸いなことに利用しているDELL U2723Qの27インチモニターは、USB Type Aのポートがいくつかあり、そこに差し込むことでノートPCに無駄に取り付けたり外したりする必要がなかった。
USB-Cに変換するアダプターがあるが、どうせなら同包して欲しかった。
Easy-SwitchでPCとタブレット間の利用も
Bluetooth接続機器端末のタブレットであれば、PCとタブレット間でスイッチを押して切り替えて簡単に利用することもできるようになっている。
iPadで試してみたが違和感なく使える。筆者はiPadでマウスを使うという用途はないが、iPadのタブレット端末でマウスで細かい操作をしたい人も使えるだろう。
MacとWindows間で簡単にファイルのコピペができる
仕事柄Windows、およびMacの両方のPCを利用しているのだが、たまに面倒だと感じるのがテキストやファイルのやり取りだ。
今ではGoogleなどのクラウドサービスを使えば、Googleドライブのストレージやサービスにテキストやファイルを保存すれば異なるPC間でもスムーズにやり取りすることは可能だ。
しかし、それでもやはりわざわざブラウザを開いてGoogleドライブを開いてファイルをアップロードし、PCを切り替えて操作する、なんて作業が必要だったりする。
しかし、上述したようにMX MASTER 3sで利用できるカスタマイズアプリ「Logi Options+」をインストールして「Flow」という機能を使えば、マウスの操作だけで簡単にファイルのやり取りも簡単にできるようになる。
FlowでWindowsとMacの異なるOSのパソコン間で接続した状態でマウスカーソルをPC間で移動できた時には、やはり感動を覚える。
また、FlowでPC間を接続している場合には、マウス本体裏面のEasy-Switchを切り替える必要もなく、マウスカーソルを移動させるだけで異なるPCに移動させるのはやはり便利だ。
ただし、注意が必要だ。会社やオフィスなどのような場所ではネットワークによっては制限が掛かってやり取りができない場合がある。ネットワーク管理者に相談する必要があるが、会社によってはだめな場合があるので自宅での利用になる場合もある。
MX MASTER 3sレビューまとめ
以上が使っていて感じたことだが、気になることとしてはLogi BoltのUSBレシーバーがType Aであることジェスチャーボタンの使い勝手ぐらいだが、ジェスチャーボタンは慣れてしまえばそこまで気になることではないかと。
マウスの操作はスムーズで、Logi Options+のアプリもシンプルで使いやすく、ボタンの割り当ても便利と今まで使用してきたマウスの中では最高の満足感を感じている。
MX MASTER 3sがおすすめな人
- Photoshop、Illsutrator、Premiere ProなどのAdobe製品を使用している
- Davinci Resolveのような動画編集ソフトで使用したい
- 長時間でも疲れないマウスを使いたい
- 静かなマウスを使いたい
- パソコンで細かいマウス操作を必要としている
- ガラスなどの表面上でスムーズなマウス操作をしたい
- よく使うキーボードショートカットをマウスのボタンに割り当てたい
- 高解像度の大型モニターを使用している
- Windows、Macの異なるOSのパソコンで切り替えずにマウス操作したい
- 複数のパソコンを利用している
- 異なるPC間でテキストやファイルのやり取りをしたい
MX MASTER 3s for Macとの違い
MX MASTER 3sには、Maco用のMX MASTER 3s for Macがあり、どのような違いがあるのかを表にまとめてみたが、公式サイトの情報だけだとどう見てもスタンダードモデルの方がいいようにしか見えない。
MX MASTER 3s for Macとの違い | ||
---|---|---|
MX MASTER 3s | for Mac | |
Logi Bolt USBレシーバー付属 | ◯ | ✕(別売り) |
Mac 10.15 以降 iPadOS 14 以降 | ◯ | ◯ |
Windows® 10, 11 以降 Linux ChromeOS Android™ 8.0 以降 | ◯ | ✕ |
カラー ①グラファイト ②ペールグレー ③スペースグレー | ① ◯ ② ◯ ③ ✕ | ① ✕ ② ◯ ③ ◯ |
関連 Logi BoltとUnifyingとの違いは?対応製品や互換性についても
ビジネス用との違い
MX MASTER 3sには、さらにビジネスモデルがあるが、これも公式サイトを見ても分かりづらかったが、恐らくビジネスモデルはリモート管理でソフトウェアの大規模インストールが可能になっているのが最大の特徴かと。参照
Logicoolマウスの比較
ロジクールのマウスの違いを一覧表にしてみた。
画像 | 商品名 | 参考価格 | 重量 | サイズ | センサー | センサー解像度 | サムホイール | 接続方法 | 無線/有線 | ボタン数 | ボタンカスタマイズ | 対応OS | 電池 | リモート管理 |
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MX MASTER 3S | Amazon ¥15,200 楽天 ¥13,800 ヤフー ¥15,250 | 141g | 84.3 x 51 x 124.9 mm | レーザー Darkfield | 8000dpi | ◯ | Bluetooth Low Energy | 無線 | 7 | ◯ | Windows、macOS、Chrome OS、Linux、iPadOS、Android | 急速充電/500mAh フル充電で約70日間/1分間充電で約3時間 | – | |
MX MASTER 3S for MAC | Amazon ¥15,400 楽天 ¥15,400 ヤフー ¥15,400 | 141g | 84.3 x 51 x 124.9 mm | レーザー Darkfield | 8000dpi | ◯ | Bluetooth | 無線 | 7 | ◯ | macOS、iPadOS | 急速充電/500mAh フル充電で約70日間/1分間充電で約3時間 | – | |
MX MASTER for Business | Amazon ¥18,176 楽天 ¥17,330 ヤフー ¥15,250 | 141g | 84.3 x 51 x 124.9 mm | レーザー Darkfield | 8000dpi | ◯ | Bluetooth Low Energy | 無線 | 7 | ◯ | Windows、macOS、Chrome OS、Linux | 急速充電/500mAh フル充電で約70日間/1分間充電で約3時間 | ◯ | |
MX ANYWHERE 3S | Amazon ¥12,700 楽天 ¥13,970 ヤフー ¥12,570 | 99g | 65 x 34.4 x 100.5 mm | レーザー Darkfield | 8000dpi | – | Bluetooth Low Energy | 無線 | 6 | ◯ | Windows、macOS、iPadOS、ChromeOS、Linux、Android | 急速充電/500mAh フル充電で約70日間/1分間充電で約3時間 | – | |
MX ANYWHERE 3 fo MAC | Amazon ¥11,082 楽天 ¥11,200 ヤフー ¥11,090 | 99g | 65 x 34.4 x 100.5 mm | レーザー Darkfield | 4000dpi | – | Bluetooth | 無線 | 6 | ◯ | macOS、iPadOS | 急速充電/500mAh フル充電で約70日間/1分間充電で約3時間 | – |